「先生、今日なんだか体が重いんです。雨のせいですかね……」
「湿気が強い日は、どうも調子が出ないんですよね」
雨の日になると、治療院ではこんな声が増えます。
頭痛の人もいれば膝痛の人もいて
それぞれ症状は違うのに、「今日はなんだかしんどい」
だけは共通しています。
実際、現代医学でも “気象の変化が体調に影響する” ことは研究されていて、
国立精神・神経医療研究センターの調査でも、
気圧の低下が頭痛や倦怠感の誘因になる と報告されています。
つまり、雨の日に体がしんどくなるのは「気のせい」ではなく、
まっとうな身体の反応 なのです。
■ 東洋医学にも同じ考えがあります。
現代医学が“気象病”として説明するこの現象。
東洋医学では太古の昔から「湿邪(しつじゃ)」という言葉で説明されてきました。
古典『黄帝内経』には、「湿は重くして濁る性あり」
とあり、湿気が体に入り込むと重だるさや痛みを生む、と書かれています。
昔の人も、雨の日の不調を経験則から観察していたのでしょう。
■ 雨の日、体の中で起きている変化
ここからは、現代医学と東洋医学の両方の視点を合わせて、
“体の中で実際に起きていること”を紹介します。
① 気圧の低下で頭痛・首の張りが出る(現代医学)
雨の日は低気圧。
気圧が下がると、体内の圧力バランスが変わり、脳脊髄液の流れにも影響が出ます。
その結果、首の後ろが張る、ズキズキした重だるい頭痛
が起きやすくなります。
これは科学的にも裏付けがあり、
気圧の変化が痛覚神経を刺激する ことが分かっています。
実際、首の後ろを押さえながら来院される方もいます。
「頭が重いんです」
と言われて首の項部を触ると、普段より明らかに硬くなっていることはよくあります。
② 胃腸(脾)が弱り、筋肉の張りや痛みが出る(東洋医学+臨床)
湿度が高い日は、体の水分代謝が落ちやすく、胃腸の働きが鈍ります。
東洋医学では「脾は肌肉を司る」とされ、胃腸が弱ると筋肉の張りに直結します。
雨の続く日は、「お腹が張る」「食欲がない」
という相談が増えます。
頭痛や腰痛の相談で来られた方が、途中からお腹の話を始めることもあります。
私の治療院でも雨の日は
太ももの裏が張る、肩の奥が重い
と訴える方が増え、触診すると独特の硬さがあります。
③ 関節内の水分が増え、ぎこちなさや古傷の痛みが出る(現代医学+東洋医学)
関節は少量の関節液で満たされていますが、湿度が高いと水分代謝が落ち、
関節内の水分が増えて“内側からむくむ”ような状態 になります。
整形外科の研究でも、
湿度と関節痛の関連 が指摘されています。
東洋医学でも、湿邪は「重く、下に溜まりやすい」とされ、
膝や足首の痛みが出やすいと説明されています。
ありがちですが、
「天気予報を見る前に膝が教えてくれる」
と笑う方もいます。
④ 頭重感・下半身のむくみ(東洋医学)
湿邪は“重くて下に溜まる”性質があるため、
頭が袋をかぶったように重い
足がむくんで鉛のようにだるい
といった症状が出やすくなります。
これは臨床でも非常に多い訴えです。
靴下の跡がくっきり残ったり、靴の締め付けが辛く感じるというようなお悩みもあります。
■ 対策は「巡らせて外へ出す」
東洋医学では湿邪への対策を 「疎泄(そせつ)」=滞りを流すこと と言います。
現代医学的にも、血流や代謝を上げることは理にかなっています。
- 胃腸に優しい食事
冷たい飲み物や生ものは控えめに。
代わりに、
小豆
ハトムギ
冬瓜
など、水分代謝を助ける食材を。
- じんわり汗をかく
軽い運動や入浴で、体の中の水を外へ出す。
「お風呂に入ったら頭痛が軽くなった」という声は本当に多いです。
※医科学士、カイロプラクティック学士、はり師、きゅう師としての臨床経験をもとに執筆しています。







